有明海の再生をめざして、ノリ漁師さんたちが魚介類が住みやすい環境づくりに取り組んでいるよ。
「海の森」と呼ばれるその試みって?
ある日の昼下がり、佐賀市の佐嘉漁港から南西へ15キロほどの場所にあるノリの漁場へと10隻の漁船が出港したんだ。
船には、ノリの養殖には似つかわしくない大量のササ。
漁場には次々とノリ漁船が集まって、組合員が50人がかりで長さ4メートルほどのササを海底に突き刺してたよ。
その数なんと7000本。その目的は「この笹を海底に突き刺すことで魚介類が住みやすい環境を作っていく事」なんだって。
県有明海漁協が4年前から取り組むのは有明海再生事業「海の森」。
海底に突き刺さったササが有明海の環境の改善に一役買っているんだ。
県有明海漁協佐賀市支所の杉町省次郎運営委員長は「一番は赤潮でノリがとれなくなる色落ちする、それに加えて貝類が壊滅した」「20年くらい前から豊饒の海をいわれた海がなりわいされんような海になった」って話してくれたよ。
ノリ漁師歴53年の杉町省次郎さんは「宝の海」と呼ばれた有明海を取り戻すため自分たちにもできることはないかと探る中で、かつて先人が行っていたというこの取り組みに思い当たったんだって。
ササを海底に突き刺すことで潮の流れをかき回しノリや二枚貝の生育に悪影響を及ぼす貧酸素を解消。このササに藻が生え、魚のえさとなるプランクトンが発生。
さらにササは、カキなど貝類の幼生や、ノリの胞子などを付着させて育てる採苗器の役割も果たしているんだー。
作業を進めていると1隻の漁船が近づいてきたよ。なんと漁船の上には大きなスズキが。
スズキ漁師の田中肇さんは「(初日にしては)大漁」「ここに魚が逃げてくる網が入らんけん」「プランクトン関係も違う」って言ってたよ。
この日はスズキの他にマナガツオなども釣れたんだ。
取り組むこと5年。杉町さんは、少しずつ魚介類の増加を実感しているんだって。
2007年以降を休漁を続けていた有明海特有の二枚貝ウミタケはおととしから試験操業を再開。今年は生息範囲の拡大や成貝の増加などをうけ、さらに規模や期間を拡大したよ。
杉町さんは「自分たちが金もうけできるより、そこをなりわいとしている人たちからいいといわれることが喜び」「一番は後継者が育つような海になってもらいたい。漁業者はいいと思ってもらえる海になれば。それが最終目的」って話してくれたよ。
魚介類の住処を作る「海の森」。
「宝の海」と呼ばれた有明海の再生を目指して一歩ずつ、漁業者の歩みは続くよ。
漁師さんの取り組み、僕も応援する!
イベント名 | 「宝の海」取り戻す 漁師たちがササで「海の森」づくり |
5歳の元気な男の子。佐賀のことを知りたくて、いろんなところに出かけています。