有明海の生き物の中には、日常的に目にするものもいれば、見かけなくなってしまったものもいます。
そのひとつがアゲマキガイです。
佐賀県有明海水産振興センターアゲマキガイ担当 重久剛佑さん「1970年から80年代までは100トン~700トンほど獲れていましたが、1994年頃からほとんど獲れなくなり、1996年からアゲマキガイの種苗生産・放流を開始し、その結果2018年に22年ぶりに一部漁獲再開にこぎつけました」「しかし、ここ3年は豪雨の影響により、資源は減少している状況です」
実はこのアゲマキガイ再び有明海に沢山住むようになれば、食材としてだけではなく、有明海の環境を良くしてくれるかもしれないと期待されています。
佐賀大学農学部 折田亮助教(海洋生態学)「アゲマキガイは成長に伴って1メートル近く穴をほるような二枚貝です」「泥干潟は穴を掘って住む生物がいることで酸素のある層が拡がることになります。酸素を使って有機物を分解するバクテリアは干潟を浄化することに貢献します」
佐賀大学農学部 折田亮助教(海洋生態学)「泥の中には酸素があるところを得意とするバクテリアと酸素がないところを得意とするバクテリアが存在し、脱窒という現象にはその両方のバクテリアが関わっています」
佐賀大学農学部 折田亮助教(海洋生態学)「溶存態窒素は濃度が高くなってしまうと、赤潮など植物プランクトンの大量増殖に繋がってしまうのでアゲマキガイが穴をたくさん掘ることによって様々なバクテリアの働きがうまれ、さらに窒素が取り除かれることで干潟の浄化効果が期待できます」
そして折田先生は有明海のアゲマキガイに2つのグループが存在することを発見しました。これがどのようにアゲマキガイを増やす取り組みに活かされるのでしょうか。
佐賀大学農学部 折田亮助教(海洋生態学)「可能性としてはいろんな環境特性に対する応答が集団間で違っているかもしれない。もしそれが分かれば(集団ごとに)適した環境に適した時期に(種苗を)まくなど、これから生まれてくるかもしれません」
アゲマキガイがたくさん暮らすアゲマキガイ。いつか見てみたいですね。
サガテレビアナウンサー
「海と日本PROJECT in 佐賀」推進リーダーとしてリポートします。